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映画人の死  「グラン・トリノ」と「ローガン」

今回は、私が大好きな映画2本についての記事です。この2本の共通点として、主演俳優の引退作と言うことが挙げられます。彼らの映画人生が結実した作品ではないかと思います。では、紹介に移ります。

注意 今回の記事にはネタバレが含まれているので、回覧は自己責任でお願いします

 

 

 

 

1 アメリカ映画の臨界点「グラン・トリノ

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フォードの自動車工を50年勤めあげた元朝鮮戦争の軍人、コワルスキーは、妻を亡くし、日本車が台頭し、東洋人の街となっているデトロイドで隠居生活を送っていた。ある日、ギャングにそそのかされた隣家のモン族の少年タオが愛車の72年型グラン・トリノを狙って忍び込むが、コワルスキーの構えた銃の前に逃げ去る。その時からモン族との交流が始まり、タオを一人前の男にするため、世話をしていく。しかし、ギャングたちはさらなる嫌がらせを加え続け、タオは復讐心に燃える。その時、コワルスキーがタオに示した選択とは・・・

クリント・イーストウッド監督作であり、実質的な主演引退作であるこの作品ですが、それにふさわしい作品です。彼が今まで演じてきたキャラクターたちが走馬灯のように浮かんできます。胸から銃を取り出すしぐさはダーティハリーですし、許されざる者での役も目に浮かびます。もともと彼は西部劇の主演として名を挙げた俳優です。まさしく彼は古き良きアメリカ映画の体現者でした。超然としたキャラクターを常に演じ続けてきた彼ですが、近年では、殺人者として自分を捉えることが増えてきました。いわゆるニューシネマ的アプローチです。許されざる者などは、まさにその典型的な例と言えるでしょう。そのアプローチの集大成と言えるのが本作です。この映画のラストで、イーストウッドが我々に伝えたかったもの。それは、アメリカという国が本来持っていた、自由の精神。それを継承するのは誰か。白人である必要はない。それが異人種であろうと、継承することはできる。そんな暖かくも、力強いメッセージを、イーストウッドは伝えてくれた気がします。

彼が刻んだ最期の爪痕 「ローガン」

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2029年、新たなミュータントが生まれることもなく、ミュータントは絶滅の危機に瀕していた。ローガンこと、ジェームズハウレットはテキサスで運転代行をしながら、メキシコ国境沿いにある放置された精錬所でチャールズエグゼビアの介護を、キャリバンと共に行っていた。ある日、ローガンの素性を知る男、ドナルドピアーズが現れ、人探しの協力を求められる。また、ローガンは元看護士と名乗るガブリエラ・ロペスから、ローラという名の11歳の少女をノースダコタにある「エデン」まで送り届けて欲しいという依頼を受ける。精錬所が襲撃されたローガンは、なし崩し的にその依頼を受け、逃避行を始めることとなる・・・

このブログでは初めての、公開中の作品を扱う記事となりました。もう一度言いますが、ネタバレを含みますので、自己責任で回覧してください。さて、今回のローガンですが、久しぶりに自分のオールタイムベストを更新するレベルで好きな作品となりました。それはなぜかと言えば、一人のヒーローの終りを、ここまで激しく、そして悲しく語りきった作品はないからです。ローガンの人生の終着点を見事に描き切っています。あえて断言します。僕の中のヒーロー映画ナンバー1であると。まずはR15だからできるであろう凄惨な暴力描写。これをなくして本作は語れません。退廃とした世界に宿る乾いたバイオレンスを的確に表現していると思います。それを踏まえて言いたいのは、今回から参戦したローガンのクローンであるローラを演じたダフネ・キーンちゃんは、今年のベストガールであることです。彼女の大立ち回りの凄さはもちろんですが、終盤の演技には、号泣してしまいました。つまり、ローガンの手を黙って握るローラや、最期の時に「パパ」とローガンを呼ぶローラ。墓標をXに倒すシーンで涙を抑えきれなかったのです。日本のエンターテイメントは絶対にできないアプローチで、人生と死について語りきってしまった本作を、僕はこれからも見返し続けるでしょう。最良の役であったウルヴァリン役を見事に締めくくったヒュージャックマンには、本当にお疲れを言いたいです。監督にも、SAMURAIの件は帳消しにします。本当にありがとうございました。

今回の記事は以上です ここまで読んでくれた方 ありがとうございました。